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杉森健一
イランの良さを伝える杉森
25歳の時に出た世界の旅の途中にてイランを訪れ、ハマる。その後はイラン渡航を繰り返し、現在は雑貨店運営・旅行業・フェス事業・執筆業など幅広くイラン関係の事業に携わりつつ、SNSやマスメディアなどでイラン情報を発信中。
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長きに渡り、日常の中で愛され続けるイランの伝統・ガラムカール

こんにちわ!PERSIAN TAGの杉森です。

今回のテーマはイランの工芸品・ガラムカール。日本ではペルシア更紗という名前でも目にすることがあります。

私個人的にも、イランの数ある文化の中でもガラムカールは最も好きな要素の一つ。

本記事では、ガラムカールの魅力を少しを少しでも皆さまにお伝え出来ればと思います!

目次

ガラムカールとは?

ガラムカール(ペルシア更紗)とは、コットンの生地に木版で伝統的なパターンをプリントしたファブリック製品。

現在もイスファハーンを中心に多くの工房があり、イラン全土で愛されている伝統工芸品です。

ガラムカールの起源と歴史

歴史を辿ると、ガラムカールの歴史はサーサーン朝(3〜7世紀)まで遡ります。

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サーサーン朝の王・シャープール1世のレリーフ

当時の製法は今とは異なり、布に筆で直接的にデザインを施す、というものでした。

「ガラムカール(قلمکاری・ガラムカーリー)」という名前を見ても、「ガラム」はペンや筆、「カール」は仕事やworkという意味で、直訳すると「ペンワーク」という意味になります。

その後、生産の効率化のために木版印刷スタイルに変わり、17世紀〜18世紀頃のサファヴィー朝の時代に爆発的に人気となり、イランを代表する伝統工芸品となりました。

ガラムカールの製造現場 / 筆者撮影

19世紀ガージャール朝時代には機械化や西洋文化の流入によりガラムカール文化も一時的に下火となりましたが、20世紀初頭のパフィラヴィー朝時代にリバイバルしました。

現代でも愛されるガラムカール

そんなガラムカールは、今もなおイラン全土で見られる伝統工芸品。単なる「歴史的な伝統工芸品」の枠を越え、日常の中で生きる工芸品として、多くのイラン国民の日常の中で愛され続けられています。

テーブルクロスはもちろん、ベットカバーやカーテン、衣類など様々なアイテムとして愛用されています。

韓国のBTSもガラムカールの衣装を着用したことも

多彩なデザインもガラムカールの魅力

ガラムカールの特徴は、なんと言ってもその鮮やかなデザインたち。

モチーフとなるパターンも様々なものが存在し、例えば、

細かなパターンや曲線的なデザインが魅力的な唐草模様や、

ガラムカールのデザイン古くからペルシア文化の中で愛されるペイズリー、


大柄なボタニカルデザイン、

モスクのタイルアートからインスパイアされたものや、

キリムを彷彿とするトライバル柄など、

様々な色とりどりのデザインが存在するのも、ガラムカールの魅力です。

ガラムカールの製造方法

これらのガラムカールですが、実際にどのように作られてるのでしょうか。

2021年にイスファハーンの工房を見学させて頂きましたので、その時のお写真とともにご紹介します。

ガラムカールの製造現場 / 筆者撮影

1. 木版を作る。

ガラムカールで最も重要な要素であるデザイン。

プリント方法はいわゆる木版印刷の一種で、耐久性が高く加工がしやすいナシやサンザシの木に手彫りでデザインを彫っていきます。

細やかなデザインはもちろん手彫り / 筆者撮影

工房には無数の木版が存在し、それらをパーツを掛け合わせて完成するデザインはまさに無限大。

工房の棚には様々な版が並ぶ / 筆者撮影

2. 生地を作る。

歴史的には様々な生地が使用されていましたが、現在は耐久性の高いコットン100%の生地が主流。

工場から搬入された生地たち / 筆者撮影

生地自体は機械で織られ、その後手作業で四方のフリンジが編まれて完成。

デザインとマッチする風合いのフリンジが、ガラムカールの可愛さをより引き立てますね。

3. インクを作る。

次はインク。染料の原料は薔薇やサフラン、ターメリック、プラムやハーブなどといった天然素材から作られています

倉庫には色彩豊かなインクが並ぶ / 筆者撮影

4. プリントする。

次の行程はプリント。ガラムカールの生産行程の花形部門です。

まずは動画をご覧ください。

このように、一色づつ丁寧に木版を捺していき、色を重ね、見事なデザインを仕上げていきます。まさに職人技。

数多の版を駆使して仕上げられるガラムカール / 筆者撮影

また、この製法ならではのプリントのズレ感も、ガラムカールのいい味を出す大きな要素のひとつです。

5. チャイを飲む。

ガラムカールはイランで欠かせない文化のひとつですが、チャイ(紅茶)もイランの文化を語る上で欠かせない要素。

現場の片隅でチャイタイム / 筆者撮影

ということで、チャイを飲みながらほっと一息。

7. 煮る。

チャイも飲んでリフレッシュ!ということで、次はプリントしたインクを定着されるため、大鍋でグツグツ煮ます。

時には繊細に、時には豪快に / 筆者撮影

この時にザクロの皮やアカネの実を混ぜることで、生地全体にもほんのりと着色し、優しい風合いとなります。

8. 洗浄、乾燥する

そして最後にお水につけて洗浄し、太陽の元で乾燥させて完成。

このような伝統的な製法によって、今もなお職人の手によって作られています。

PERSIAN TAGの商品

さて、そんなガラムカールですが、PERSIAN TAGでは2つの形にて皆様の元へお届けしています。

ガラムカール製品

イスファハーンの工房から直接買い付けたガラムカールたち。

サイズは日本の家庭でも使いやすい、60cm角・80cm角・100cm角などをメインに販売しています。

デザインは工房の店主にその時にオススメのデザインを見繕って届けて頂いているので、基本的に現物限り。同じデザインが入荷することもあれば、二度と入荷しない場合もございます。

是非、お気に入りのデザインを見つけましたらお早めに確保頂くことをおすすめします。

ガラムカールデザインのスマホケース

ガラムカールのデザインを日常の中の様々な場面で楽しみたい…という想いで、現地のガラムカール工房と連携し、ガラムカールデザインのスマホケースをつくりました。

ガラムカールのハンドメイドならではのラフ感を残しつつ、鮮やかなアートをいつも身近に感じられるシリーズとなっています。

最後に

ガラムカールはじめ、イランの伝統工芸品は「過去の歴史の中で栄えた文化」ではなく、「歴史の中で生まれ、育ち、現代のイランにも生きている文化」です。

是非、その部分を当店のアイテムを通じて、身近に感じて頂けますと幸いです。

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