こんにちわ!PERSIAN TAGの杉森です。
今回のテーマはイランの工芸品・ガラムカール。日本ではペルシア更紗という名前でも目にすることがあります。
私個人的にも、イランの数ある文化の中でもガラムカールは最も好きな要素の一つ。
本記事では、ガラムカールの魅力を少しを少しでも皆さまにお伝え出来ればと思います!
ガラムカールとは?

ガラムカール(ペルシア更紗)とは、コットンの生地に木版で伝統的なパターンをプリントしたファブリック製品。
現在もイスファハーンを中心に多くの工房があり、イラン全土で愛されている伝統工芸品です。
ガラムカールの起源と歴史
歴史を辿ると、ガラムカールの歴史はサーサーン朝(3〜7世紀)まで遡ります。
当時の製法は今とは異なり、布に筆で直接的にデザインを施す、というものでした。
「ガラムカール(قلمکاری・ガラムカーリー)」という名前を見ても、「ガラム」はペンや筆、「カール」は仕事やworkという意味で、直訳すると「ペンワーク」という意味になります。
その後、生産の効率化のために木版印刷スタイルに変わり、17世紀〜18世紀頃のサファヴィー朝の時代に爆発的に人気となり、イランを代表する伝統工芸品となりました。

19世紀ガージャール朝時代には機械化や西洋文化の流入によりガラムカール文化も一時的に下火となりましたが、20世紀初頭のパフィラヴィー朝時代にリバイバルしました。
現代でも愛されるガラムカール
そんなガラムカールは、今もなおイラン全土で見られる伝統工芸品。単なる「歴史的な伝統工芸品」の枠を越え、日常の中で生きる工芸品として、多くのイラン国民の日常の中で愛され続けられています。
テーブルクロスはもちろん、ベットカバーやカーテン、衣類など様々なアイテムとして愛用されています。
多彩なデザインもガラムカールの魅力
ガラムカールの特徴は、なんと言ってもその鮮やかなデザインたち。
モチーフとなるパターンも様々なものが存在し、例えば、
細かなパターンや曲線的なデザインが魅力的な唐草模様や、

ガラムカールのデザイン古くからペルシア文化の中で愛されるペイズリー、

大柄なボタニカルデザイン、

モスクのタイルアートからインスパイアされたものや、

キリムを彷彿とするトライバル柄など、

様々な色とりどりのデザインが存在するのも、ガラムカールの魅力です。
ガラムカールの製造方法
これらのガラムカールですが、実際にどのように作られてるのでしょうか。
2021年にイスファハーンの工房を見学させて頂きましたので、その時のお写真とともにご紹介します。

1. 木版を作る。
ガラムカールで最も重要な要素であるデザイン。
プリント方法はいわゆる木版印刷の一種で、耐久性が高く加工がしやすいナシやサンザシの木に手彫りでデザインを彫っていきます。

工房には無数の木版が存在し、それらをパーツを掛け合わせて完成するデザインはまさに無限大。

2. 生地を作る。
歴史的には様々な生地が使用されていましたが、現在は耐久性の高いコットン100%の生地が主流。

生地自体は機械で織られ、その後手作業で四方のフリンジが編まれて完成。
デザインとマッチする風合いのフリンジが、ガラムカールの可愛さをより引き立てますね。

3. インクを作る。
次はインク。染料の原料は薔薇やサフラン、ターメリック、プラムやハーブなどといった天然素材から作られています

4. プリントする。
次の行程はプリント。ガラムカールの生産行程の花形部門です。
まずは動画をご覧ください。
このように、一色づつ丁寧に木版を捺していき、色を重ね、見事なデザインを仕上げていきます。まさに職人技。

また、この製法ならではのプリントのズレ感も、ガラムカールのいい味を出す大きな要素のひとつです。
5. チャイを飲む。
ガラムカールはイランで欠かせない文化のひとつですが、チャイ(紅茶)もイランの文化を語る上で欠かせない要素。

ということで、チャイを飲みながらほっと一息。
7. 煮る。
チャイも飲んでリフレッシュ!ということで、次はプリントしたインクを定着されるため、大鍋でグツグツ煮ます。

この時にザクロの皮やアカネの実を混ぜることで、生地全体にもほんのりと着色し、優しい風合いとなります。
8. 洗浄、乾燥する
そして最後にお水につけて洗浄し、太陽の元で乾燥させて完成。

このような伝統的な製法によって、今もなお職人の手によって作られています。

PERSIAN TAGの商品
さて、そんなガラムカールですが、PERSIAN TAGでは2つの形にて皆様の元へお届けしています。
ガラムカール製品

イスファハーンの工房から直接買い付けたガラムカールたち。
サイズは日本の家庭でも使いやすい、60cm角・80cm角・100cm角などをメインに販売しています。
デザインは工房の店主にその時にオススメのデザインを見繕って届けて頂いているので、基本的に現物限り。同じデザインが入荷することもあれば、二度と入荷しない場合もございます。
是非、お気に入りのデザインを見つけましたらお早めに確保頂くことをおすすめします。
ガラムカールデザインのスマホケース

ガラムカールのデザインを日常の中の様々な場面で楽しみたい…という想いで、現地のガラムカール工房と連携し、ガラムカールデザインのスマホケースをつくりました。

ガラムカールのハンドメイドならではのラフ感を残しつつ、鮮やかなアートをいつも身近に感じられるシリーズとなっています。
最後に
ガラムカールはじめ、イランの伝統工芸品は「過去の歴史の中で栄えた文化」ではなく、「歴史の中で生まれ、育ち、現代のイランにも生きている文化」です。
是非、その部分を当店のアイテムを通じて、身近に感じて頂けますと幸いです。